デザイン思考とは?現代社会における重要性とリベラルアーツとの関係性を解説

リベラルアーツ

近年、急速な技術革新やグローバル化によって、企業が直面する環境はめまぐるしく変化しています。そのような状況下で求められるのは、柔軟で多角的な思考力とイノベーションを生み出す力です。そこで注目されているのが「デザイン思考」というアプローチです。 本記事ではデザイン思考の概要やプロセス、ビジネスへの活用方法を解説するとともに、リベラルアーツと結びつけることで得られる相乗効果を探ります。さらに、リベラルアーツを効率よく学習できるKDDIが運営するVODサービス「LIBERARY(リベラリー)」と、その法人向け人材育成サービス「LIBERARY(リベラリー) for Biz」についてもご紹介します。

1. デザイン思考とは

1-1. デザイン思考の概要

デザイン思考(Design Thinking)とは、本来プロダクトデザイナーが用いていた発想手法を、ビジネス課題の解決やイノベーション創出に応用した思考プロセスです。特にユーザーや顧客の潜在ニーズを探り当てる「人間中心(Human-Centered)」の視点や、試作と検証を繰り返すアプローチが特徴的です。従来の論理的アプローチとは異なり、共感や観察を重視してアイデアを創出し、素早く形にしてテストしながら改善する点に大きな価値があります。

1-2. デザイン思考が注目される背景

インターネットやモバイル技術が普及し、消費者のニーズが多様化・個別化する現代では、「これまでにない体験価値を提供する」ことが企業の競争力の源泉となっています。そこで不可欠なのが、潜在的な欲求や問題を捉え、従来の思考枠組みを超えたアプローチによってイノベーションを起こす力です。このような時代背景から、企業や教育機関ではデザイン思考への注目が高まっています。

2. デザイン思考の歴史と背景

2-1. デザイン思考の起源

スタンフォード大学のd.school(Hasso Plattner Institute of Design)やIDEOなどが中心となり、体系化されてきたのが現在のデザイン思考です。もともとデザイナーの間では、人間の行動や心理を深く観察しながら試作品を通じて課題を解決する方法論が存在しており、それをビジネスへ応用可能な形に発展させたのがデザイン思考といえます。

2-2. 広がりを見せるデザイン思考の実践

デザイン思考はIT企業や製造業、小売業、サービス業のみならず、行政や教育機関でも活用されています。製品開発でのユーザーインタビューや利用実験を通じたUX向上だけでなく、組織開発やマーケティング戦略、顧客体験(CX)デザインなどにも適用されるようになりました。多様な角度からイノベーションを引き起こすメソッドとして、多くの組織が取り入れています。

3. デザイン思考のプロセス

3-1. 共感(Empathize)

デザイン思考の第一ステップは、ユーザーや顧客に深く共感することです。アンケート調査やインタビュー、行動観察などを通じて、ユーザーがどのような問題を抱えているのかを理解します。先入観を捨て、現場や利用者の声をフラットに受け止めることが重要です。

3-2. 問題定義(Define)

共感によって得られたインサイトをもとに、解決すべき問題を具体的に定義します。ここでは、ユーザーの課題を「どのように捉え、どんな価値を提供するのか」を明確化します。適切な問題設定が、後のアイデア創出とプロトタイプの成功を左右します。

3-3. アイデア創出(Ideate)

問題が明らかになったら、多様な視点を取り入れながらブレーンストーミングなどを通じてアイデアを出します。評価や批判はこの段階では封印し、自由闊達にアイデアを生み出すのがポイントです。幅広いリベラルアーツの知識があると、新鮮な着想を得やすくなります。

3-4. プロトタイプ(Prototype)

アイデアを具体的な試作品(プロトタイプ)として形にするステップです。完璧なものを最初から目指すのではなく、早く作って早く試すことでフィードバックが得やすくなります。紙の模型や簡易的なアプリ画面など、低コストで作れるものから始めるのが一般的です。

3-5. テスト(Test)

作ったプロトタイプを実際にユーザーに試してもらい、フィードバックを収集します。得られたデータや感想をもとに改良し、再度プロトタイプを作り直すサイクルを繰り返すのがデザイン思考の特徴です。こうしてユーザーにとって最適な解決策を研ぎ澄ませていきます。

4. デザイン思考をビジネスに活かすメリット

デザイン思考は、単なる理論や手法ではなく、組織文化やイノベーション創出のスタンスを大きく変える力を持っています。ここではデザイン思考をビジネスに導入するメリットを整理します。

4-1. 顧客満足度の向上

人間中心の視点を重視するため、ユーザーが本当に望むものを把握しやすくなります。結果的に、顧客体験の質が向上し、ブランドロイヤルティや顧客満足度が高まる効果が期待できます。

4-2. イノベーション創出の加速

多様なアイデアを迅速に試作・検証するプロセスを取り入れることで、思いもよらない視点や発想が出やすくなります。従来の延長線上にないイノベーションを生み出し、新規市場を開拓するきっかけにつながります。

4-3. 組織文化の変革

失敗を前提とした試行錯誤を積極的に奨励するため、組織全体にチャレンジングな雰囲気が生まれ、部門や職位を超えた協力体制も築きやすくなります。結果として、継続的な学習と変化へ柔軟に対応できる組織文化が醸成されます。

5. リベラルアーツとデザイン思考の相乗効果

5-1. リベラルアーツの重要性

リベラルアーツとは、人文科学・社会科学・自然科学など幅広い分野を横断して学ぶ教養教育のことです。多様な視点や論理的思考力、創造力を養ううえで欠かせないのがリベラルアーツです。複雑化した現代社会やビジネス環境で求められるのは、単なる専門知識だけではなく、柔軟で俯瞰的な思考です。

関連記事: リベラルアーツとは?現代社会で求められる教養を身につけるための学び方

5-2. リベラルアーツがデザイン思考に与える影響

デザイン思考で重視されるアイデア創出や問題解決のプロセスでは、多角的な知見の融合が非常に大切です。哲学や歴史、芸術、社会学などの知識を持つことで、ユーザーが置かれた文化的・社会的背景を深く理解でき、新しい切り口のアイデアが生まれやすくなります。環境問題やAI倫理のような複雑な課題にも対応できるのは、リベラルアーツ的素養があるからこそです。

5-3. ビジネスリーダー育成への応用

組織のリーダーには、意思決定力やコミュニケーション力、多様な人材をまとめるリーダーシップなどが求められます。リベラルアーツを学びつつデザイン思考を実践することで、多面的な視点を持ちながら革新的な成果を導けるリーダーが育成できます。グローバル化したビジネス環境で他国の文化的背景を理解するうえでも、リベラルアーツが大きく貢献します。

6. KDDIが運営するリベラルアーツのVODサービス「LIBERARY(リベラリー)」の魅力

6-1. LIBERARY(リベラリー)とは

デザイン思考とリベラルアーツを同時に学びたい方におすすめなのが、KDDI株式会社が運営する「LIBERARY(リベラリー)」です。ビジネスや人文科学、テクノロジーなど、さまざまな分野の動画コンテンツを見放題で提供しているVODサービスで、忙しい社会人でもスキマ時間を活用して学習できます。

6-2. LIBERARY(リベラリー) for Bizとは

KDDI株式会社が提供する法人向け人材育成サービス「LIBERARY(リベラリー) for Biz」は、リベラルアーツの考え方を深く取り入れた革新的な学習体験を実現します。

  • 知のフロントランナーによる動画見放題サービス:ビジネス、テクノロジー、人文科学など幅広い分野/学問をカバーし、420本以上(2025年2月現在)の独自撮り下ろし動画を配信。最新の知見やアイデアを得ることができます。講義ラインナップはこちら
  • 効率的かつ効果的な学習サポート:スマホやタブレットでいつでも学べるため、移動時間や休憩時間などを活用しながらリベラルアーツの教養を深められます。
  • ビジネスリーダー向け研修サービス:研修サービスと連携することで、動画学習で得た知識を実際のビジネス課題やプロジェクトに落とし込むワークショップ形式の学習も可能です。

デザイン思考を取り入れたリベラルアーツ学習のポイント

  • 好奇心を持つ:デザイン思考やリベラルアーツは「なぜ?」という問いを重視します。多角的な疑問を持ち、情報を探究する姿勢が新たなアイデアにつながります。
  • 失敗を恐れない:試作と検証を繰り返すプロセスや、多様な分野を学ぶリベラルアーツでは、未経験の領域に踏み込む必要があります。失敗を成長の糧と捉え、積極的に挑戦する姿勢が大切です。
  • 他者との対話を重視する:多様な背景を持つ人々との議論や意見交換は、新しい発想や発見を生み出します。デザイン思考でもユーザーやチームメンバーとの対話が欠かせません。
  • 学んだ知識を実践に結びつける:どんなに素晴らしいアイデアや知識があっても、行動しなければ意味がありません。学んだことを実際の業務やプロジェクトで試し、結果を見てさらに学びを深めましょう。

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まとめ

急速に変化するビジネス環境で勝ち残るためには、デザイン思考の柔軟かつ人間中心の発想と、リベラルアーツによる多角的な教養が欠かせません。 デザイン思考を導入するだけでは不十分で、幅広い知識や教養を培うことがイノベーションの原動力となります。

KDDI株式会社が運営するリベラルアーツのVODサービス「LIBERARY(リベラリー)」、そして法人向け人材育成サービス「LIBERARY(リベラリー) for Biz」は、420本以上の独自撮り下ろし動画から最新の知見を得ながら、企業での多面的な視点での意思決定やイノベーション創出を推進できます。ビジネスの成長と組織文化の変革を同時に実現するためにも、LIBERARY(リベラリー) for Bizの活用をぜひ検討してみてください。

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